火が点く

この家に引っ越してきて早13年。
まだハイハイしかできなかった次男が、先日13歳、ティーンエイジャーになった。

 

この十数年、ずっと放ったらかしだった庭を去年やっと片づけ始めた。
初めての「ガーデニング」。
まだ始めたばかりなので全然形にはなっていないが、何もしていなかった時と比べるとはるかにマシになった。一応「庭」という感じはある。

 

ずっと片づけよう片づけよう・・とは思っていたのだがなかなか重い腰が上がらなかった。瓦礫がそこら辺に散乱していて何から手をつければいいかわからなかった。

でも、隣人たちの言葉でガーデニング熱に火が点いた。


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我が家は小さな家なので、庭ではせいぜい洗濯物を干したり休日に家族でバーベキューをするくらいだった。逆に言えば、洗濯物も干せるしバーベキューもできるので「別にこのままでいいか」と思いしばらく放ったらかしだった。


それが、5年ほど前に隣の家に新しく家族が引っ越してきたのをきっかけにちゃんと区画整備をして塀を立てたら、庭が少しだけ広くなった。それからちょこちょこと花を植えるようになった。


実家の両親が庭いじりが好きで、今も実家の庭には所狭しと四季折々の植物が植えてある。家の中も大きなモンステラや観音竹やアレカヤシなどがわさわさなっていてジャングルのよう。
その影響か、私も植物の名前などは結構詳しい方で、植物を育てるのも好き。フルーツの種は大体一通り育てた(成功失敗に関わらず)。最近は少し前に食べた柚子の種と、ブラッドオレンジの種、それに日本のフジりんごの種を育てている。他にもレモン、桃、アボカド、コーヒーなどをもう7~8年育てているがいまだに実がなったものはない。

ちょこちょこと色んな鉢植が庭にあるのだが、店先などで可愛い花を見つけるとつい買ってしまう。


数年前のある日、またいつものように店で可愛い花の苗を見つけ、買って帰って来てからもしばらく玄関先に置きっぱなしにしていた事があった。
たまたま犬の散歩で通りかかった近所の老夫婦がそれを見て「この前も新しいプランターが置いてあったけど、また新しい花を買って来たの?」と近くにいた夫に言うと、「そうなんですよ、うちの妻がまた買って来たんですよー」と夫が笑って答えた。


他愛もない世間話だが、なんとなくお互いの妙に皮肉めいた言い方が引っかかった。


それからしばらくして、今度は隣家の奥さんと玄関先で話をする機会があった。
5年前に新しく隣に引っ越してきた一家。
隣の家の敷地ははウチの20倍くらい広い。それ故、古くなった大木を切ったり、生け垣をトリミングしたり、芝刈りをしたり・・と庭のメンテナンスに結構なお金がかかるそうで、家の光熱費も高いし「大きな家で暮らすのはなかなか大変なのよ~」とかなんとか。

実はうちも、今の家に引っ越してくる前は大きな家に住んでいた。夫の実家。ベッドルームが5つ、バスルーム2つ、庭はテニスコートが6つくらい入る広さ。元々田舎にありがちな古い小さな家を増築、増築で少しずつ大きくしていった家なので、いわゆる「豪邸」ではないが、光熱費も庭のメンテナンス費も、住民税も高く、でもお金がかかる割には古くて寒くて使い勝手も悪いので(増築を繰り返して大きくした家なので配線などがめちゃくちゃだった)、とてもじゃないけど小さな子供を2人抱えてこんな家では暮らせないと思いこじんまりとした今の家に引っ越してきた。

隣の家には以前老夫婦が住んでいたころに何度かお邪魔した事がある。
ビクトリア時代に建てられた家で、古いかまどがあったり古墳の跡があったりしてなかなか素敵な家。庭も広くて、芝生も綺麗で、「本当に我が家の隣なのか??」と思うほどの美しいイングリッシュガーデン。

でもやっぱりその頃から、しょっちゅう庭師を呼んでは庭の手入れをしてもらったり、大きな木がたくさんあるので雨風で倒れて近隣に迷惑をかけないようにと定期的に古い木を切ってもらったりしていたし、家も大きいのでやれ水道管が古くなったから交換するだの、煙突が詰まったから掃除しないといけない、水が漏れて困っている、屋根がはがれた、レンガ塀が壊れた・・・等、常にどこかの業者が出入りしていた。結局、その老夫婦も2人とも80を超えて「手間もお金もかかりすぎる」と5年前に息子さんが暮らす町のもう少し小さな家に引っ越して行った。


広い庭がある大きな家に住んでみたい! と何度か夢みた事はあったが、実際問題として、家というのはただ大きければ良いというわけではない。
大きければ大きいだけ維持費がかかる。掃除も大変。家全体に陽が入るわけではないので1年を通してずっと寒い(特にイギリスは)。全部の部屋にそれなりに良い家具を置こうと思うと家具だけで死ぬほどお金がかかる。
・・・という事を身をもって知っている。


そんなうちの事情を知らない隣の嫁は「ほんと大きな家に住むってお金がかかって大変なのよ~」「庭も広いしね~」とやたら自慢げに話してくる。
そしてチラッとうちの庭を見て、「まぁこのくらいの広さがちょうど良いよね~」と言った。

別に悪気はないのかもしれない。本当に「ちょうど良い」と思っているのかもしれない(いや、でも、あの人の人となりを考えたらちゃんと嫌味のつもりで言ったのだと思う)。

その一言で更に火が点いてしまった。

 

よ~し、やってやろうじゃないの!
ここら辺で一番キレイな庭を作ってやる!
狭い庭でもいかに素晴らしいガーデンになるか、みんなが立ち止まって見入ってしまうほどの庭を作って、「ぎゃふん」と言わせてやる!

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・・・自分の単純さに多少呆れつつ、ネットで色々なガーデニングサイトを調べ、動画を見たり、この辺で手に入る植物の名前や価格を調べ、スケッチブックにレイアウトを書いたりしてガーデニングの準備を始めた。


それが2024年の年末。そして2025年に入るとすぐ、春に向けて早速庭いじりを開始。
全くのガーデニング初心者の私が、見よう見真似でどこまで庭らしい庭を作れるか・・・

↓ちょうど火が点いた2024年9月ごろの庭の様子。


イギリスの庭と言えば薔薇がたくさん咲いている「イングリッシュガーデン」のイメージが強いが、私はどちらかといえば野花やハーブがたくさん咲く「カントリー コテージガーデン」を目指している。

 

今年でガーデニング2年目。初心者2年目。みんなが立ち止まって見てくれるような庭にはまだまだ程遠い。数年前に比べれば少しずつ庭らしくはなってきてはいるが、そんなにすぐに答えは出ない。去年買って来た花や木も大きく育ち落ち着くまでに4~5年はかかる。2年目なんて1年目とそう変わりがない。

しかし、こればっかりは待つしかない。植えた植物がもう少し大きくなって、自分が思い描いていたコテージガーデンになるまで。

 

隣人をぎゃふんと言わせるまでまだまだかかりそう・・・・

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